トイレの貼り紙

作成者: hagimoto
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公衆トイレといえば、ユーザビリティネタの宝庫なので、よく事例として採り上げられます。今回は、東京メトロの某駅のトイレで、私が一瞬戸惑った事例をご紹介します。

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操作に関係する部分は3か所ですが、その全てにお手製の貼り紙が付いています。ユーザーがこうやって貼り紙を追加するということは、オリジナルの表示に問題があるということですね。表示が小さいか、表現がわかりにくいか、情報が足りないか、そんなところでしょう。

ちょっと写真の写りが悪いので、貼り紙について確認しておきます。左側に「水洗用レバーはこちらです ↓」とあります。右上には、「係員呼出中」というボタンの周りに紙が貼ってあるようです。何かもともとあった表示を隠しているのか、特にそういう意図はないのか、わかりません。右下には「押す」と書かれたボタンがあり、その横に「緊急連絡押ボタン 緊急事態が発生した時このボタンを押して下さい。」というプレートがあります。ボタンの周りの黒とオレンジの意味ありげな模様は後からガムテープで貼ったもののようです。さらにボタンを縁取るように赤い紙が貼ってあり、そこには、ちょうどボタンの真上と真下の位置に「非常」と書かれています。

最近、非接触で手を近づけるだけで水が流れる方式のトイレがかなり増えています。周辺視野で何となく目に入ってくる印象としては、この非常スイッチも非接触センサーも似たようなものなので、最初私は、このトイレは非接触センサー式なのかと思いました。でもそれらしいものが2つあるので「どっちだろう?」と思ってよく見ると、非常スイッチだということがわかりました。そして、あらためて広く全体を見てみたらレバーが見つかったというわけです。

さて、ではもしトイレの中で気分が悪くなって、人を呼びたい場合はどうすればいいのでしょう?右上の「係員呼出中」と右下の「緊急連絡押ボタン」はどう違うのでしょう?まあおそらく、本当の緊急事態なら、両方とも闇雲に押すのでしょうが、冷静に2つの違いを想像してみても、何だかよくわかりまん。

後づけで加工された様子から推察すると、「係員呼出中」はなるべく目立たなく、「緊急連絡押ボタン」はなるべく目立つようにアレンジされているように思えます。つまり緊急時になるべく着目して欲しいのは右下の「緊急連絡押ボタン」なのでしょう。では上の「係員呼出中」は何か?おそらくこれはボタンではなく、下のボタンを押すと点灯するランプなのではないでしょうか。ところが、見た目がいかにも押せそうなボタンのような形状なので、間違えてこのランプを押す人がたくさんいて、その対策のためにランプを目立たなく、ボタンをより目立つように加工した、ということだと想像します。実際に押してみるわけにはいかないので、あくまでも想像ですが。

その物の形状や様子を見ると、何となくどう操作するかが予想できることをアフォーダンスといいます。これはちょうどその逆で、ボタンではないものがボタンっぽい形状のため、つい間違って押してしまうということでしょうね。これだけ加工して下のボタンを強調しても、やはりボタンが2つあるように見えてしまうのですから、このアフォーダンスの効果は絶大です。間違って適用すると、こんな残念な結果になってしまいますが、適切に使えばユーザーにとってとてもわかりやすいものになるはずです。